古平栽培漁業実習場のモットー

『実践なき学問に発展なし』(→学んだことは実践し、新しい課題の発見や改良に努めよ)
これは、実習場に来て初期のころに出したものです。現在、ホームページにも載せるほど重視しているもので、実習場の基本理念としております。

 『災難は突然やってくる』(→不測の事態にはいつも備えよ)
これは、以前、折角大量に生産したヒラメ稚魚を酸欠で、その大半を失うという事故を教訓にしたものです。現在、この甲斐あって、数千単位での様々な魚種の生産を可能とすることができています。

 『栽培漁業に近道はない。まず目の前のことをやれ』(→地道な努力はいつか必ず形になる、一次産業は、すぐに結果に出ないものである)
1年以上前から実習や授業の準備するというのはこのためです。

 ・『欲張るな、できることを確実にやれ』(→「今は、できないことをあきらめる勇気」と「出来ることに全力集中する強い心」を持て)
人間とは夢中になってチャレンジすることに対しては容易に実践できるが、冷静に無理をせず出来ることを着実に行うことの方が難しい生き物のようです。
アクセルよりもブレーキの方が大事な時もあるのです。
大きな目標に向かうときは、あせらず小さい目標達成を積み重ねながら進むべきだということです。

 ・『仕事にはこだわりを持て』(→便所掃除でもいい、会社で一番の掃除をやればいい)
如何に簡単で価値のないような仕事だと感じたとしても、一流の意識レベルで臨めば必ず評価してくれる人がいます。
わかる人にはわかるものです。

 ・『面倒な仕事ほどあえてやれ』(→皆がやりたがらない仕事にこそ可能性がある)
これまでの失敗は、やり方そのものの不備から来るものでなく、自分の取り組みの甘さが招いたことかもしれない。
皆が嫌がることにこそ成功のカギが隠れている。

 ・『栽培漁業とは99%が掃除である』(→脚光を浴びるのはごく僅か、見えない努力こそ成功のカギ)
「こんな仕事、こんな実習、なんて意味ないな」という人間ほど努力とその成果が反比例するものです。

また、生き物を育てるということは、自分の子供を育てるのと基本的には同じことです。
赤ん坊にミルクを与え、おむつを換え、体調が悪くないか常に気を配るようなものです。
子供を産んだばかりの母親の苦労ほどではありませんが…

・『誇りとは外に向けるものではなく、内に秘め己の肥やしとすべし』(→慢心している暇があれば、次の目標に進め)
努力を続けていればいずれ成功することがあるかもしれません。しかしこの成功に甘んじることなくその喜びを次の成功につなげるためのエネルギーとしてチャレンジしなければ、これまでの成功に意味はないということです。

・『つまづいたら、思い切って基本に帰れ』(→どうしてもうまくいかないときは、スタートに戻る勇気を持て)
基本を一つ一つ確実に積み上げていけば案外大きな成果が上がるものです。しかし、どうしてもうまくいかない時が誰にしもあるはずです。
そんなときは、一度、スタートに戻り、基本からやり直すつもりで一つ一つのプロセスを分解し、問題個所の発見・改善をした後、再びチャレンジしていけば問題は必ず解決するということです。
どうやらモノづくりの理念は栽培漁業にも通じているようです。

 以上のような戒めを心に持ちながら実習場での生活に励んでいます。

古平栽培漁業実習場
古賀英裕