所在地

園のこと

けやきの由来

 けやきの木には、花の咲く木々の−例えば桜や桃のような華やかさはない。しかし、心を留めてその姿を眺める人々には、四季それぞれに美しい姿を見せてくれる。大地に深く根を張り聳えるその姿、雨にも風にも夏の日照りにも負けないその容姿には、ほかの木には見ることの出来ない風格があり、武蔵野の風景には欠かすことの出来ない木である。けやき幼稚園の創立者吹本喜一が昭和八年(1933年)自宅の庭の隅に植えたけやきの若木が年月を経て大きく育った。しかし今の園舎を建てるために、やむを得ず切り倒した。現在は園庭に後から植えた三本のけやきの木があって、酷暑の頃には、園児のために涼しい木陰をつくってくれ、晩秋初冬の頃には、焚き火になる、たくさんの落ち葉を降らせてくれる。「けやき幼稚園」の名前は、これにちなんで付けられた。 四月のはじめ、あたらしい園児が入ってくるころは、まず、かすんだような新芽を吹き、新緑、若葉、青葉と育つてゆく頃、新園児も元気に園庭で遊ぶようになり、薫風に泳ぐ鯉のぼりのもとで、団体生活にも慣れて行く。こうしてけやきの木の下で育ち、成長し、やがて卒園してゆくのである。

記念撮影 外遊び

(中略)

 けやき幼稚園は小さな幼稚園である。大きい幼稚園には、もちろんそれだけの活力と意義があるが、小さい幼稚園にも、それなりに、幼稚園の原点としての良さがあるものと思う。親の手元を離れたばかりの幼児の保育には、母親に代る温かい、行き届いた眼差しの保育が必要である。 担任はもちろん、すべての職員が、すべての母親と、親しみをもって日ごとに言葉を交わし合い幼児の成長に力を合わせられるのも、小さな幼稚園の特色である。大きな幼稚園には及ばない、数々の点をカバーして、子供中心の、手作りの、家庭的な、父母に信頼される保育を、今後も力を尽くして行きたいと思っている。

文・前園長 吹本一海 (「武蔵野教育史」より抜粋)