藤 原 容 子
正確にいうと、今回は喜一文庫からというより、誕生日の絵本のお話。園では、誕生月の子に学年ごとに決まった絵本を、「誕生日おめでとう」の刻印を付けてプレゼントしているのですが、福音館書店の「こすずめのぼうけん」(ルース・エインワーズ作・石井桃子訳/堀内誠一画)は年少児向けに選んだものです。 字はかなり多いのですが寝る時などにお母さんから読み聞せてもらうのがぴったりの内容です。お母さんと初めて離れて幼稚園に通い始めた子どもたちは、ドキドキしながらも、温かいお母さんの胸に抱かれて安心して聞き入ることができるでしょう。 絵は才気溢れる堀内さんにしてはオーソドックスな感じですが、それぞれの鳥の特徴がよくとらえられていて、自然で美しい情景が心に残ります。 先日、この絵本をプレゼントした年少児のお母様から相談がありました。おかあさんすずめと飛ぶ練習をしていて遠くまで来てしまったこすずめ。羽を休めようといろいろな鳥の巣に寄るのですが、そのたびに仲間じゃないからと断られます。最後にはこすずめを探していたおかあさんと無事に会えて一緒に巣に帰るのですが、子どもから「どうして他の鳥はこすずめを休ませてあげないの?」と聞かれたというのです。 さあどうしてでしょう。鳥の縄張り意識の描写としてリアルな根拠はあるのですが、その説明をすることが正しい答えとは限らないでしょう。もちろんお話の世界では、種類が違っても、優しく招き入れる動物がいる展開も大いにありですし。私は、「○○ちゃんはいいところに気がついたのですね。○○ちゃんは優しい心を持っていることをほめてあげましょう。困っている人に会ったら自分ならどうしてあげるかな、と一緒に考えてもいいし、何回も読むうちや、年齢によってもいろいろ感想が違ってきてもいいのでは? 正解があるのではなく、お母さんも一緒に考えたり、話し合う事がいいのではないでしょうか」と申し上げました。お母様は「もし、他の鳥のところに寄せてもらってしまうと、こすずめは本当のおうちに帰れなくなり、おかあさんすずめが悲しい思いをするからじゃない? と答えておいたのですが」とおっしゃいました。まさにお母様ならではの素晴らしいお答えですね。